2. 【観戦記】EFL リーグ2 (英国4部)Match34 スウィンドン・タウン VS グリムズビー・タウン
おはようございます、ErnestYukioです。
厳しい冬を乗り越え、英国も徐々に日が伸びてきました。
すでに街には半袖半ズボンの中年男性すら見受けられます。みなさんまだまだ2次成長期なんでしょうか。
さて今回は、来週まで試合がないため、これまでの観戦メモをめくりながら、過去に観た試合をレビューするという蛮行をすることに。
今までのチケットの束をめくりながら、どれにしようかなと部屋で吟味していたら、
1枚のチケットにドミノピザの半額クーポンが付いていました。食育がなっていない。0点。
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というわけで今回は英国4部リーグ2、スウィンドン・タウン対グリムスビー・タウンのレビュー。
2月22日土曜日、この日もベンチに入れない少年チームの試合を柵越しに観戦後、電車に飛び乗りスウィンドンへ。
スウィンドンはロンドンから電車で西に1時間半ぐらい行ったところにあります。
少し早く着いたので、駅近くのカフェでお昼ご飯をと思い、朝食セットを注文。
イギリスのカフェでは割とどこでも24時間朝食が食べられます。1番ボリュームがあって値段も安い(それでも900円くらい)。
そんなことはさておき、前情報としては、141年の歴史(明治12年設立)を持つスウィンドンタウンはリーグ2で首位(本日時点でクルーアレクサンドラに得失点差で抜かれ、暫定2位に転落)を走っており目下絶好調。
過去には元東京V、町田ゼルビアの監督でもあるアルディレス(スウィンドンではプレイヤー兼マネージャーだった)やイタリアの紳士ディ=カニオ(ウェストハム時代にFIFAフェアープレー賞を受賞したり、ファシスト式敬礼をして世間から非難を受けたり)も在籍。
選手について誰一人情報を持ち合わせておりませんが、監督のリッチー・ウェレンスは2010年ごろ当時チャンピオンシップにいたレスターに在籍。この時我らが阿部勇樹と一緒にプレーしています(当時のレスターの監督はパウロ=ソウザ→エリクソン)。どんなプレースタイルなのでしょうか。
一方のアウェイ、グリムスビータウンはイングランド北部の小さな港町(フィッシュ&チップスが美味しいことで有名らしい)。
監督はイアン=ホロウェイ(10年くらい前ブラックプールをPLに昇格させたイングランドの知将。ハンチング帽がトレードマーク)で、今シーズン途中から監督に就任。ポゼッション志向のアタッキングサッカーを信望するホロウェイ翁ですが、はたしてグリムズビーではどうなのでしょうか。
3年前に5部ナショナルリーグからプレーオフを勝ち抜き(決勝戦の対戦相手フォレストグリーン・ローヴァーズは世界初の100%ヴィーガンクラブらしい)劇的な昇格を果たすと、リーグ2に定着。以前にはディーン・ヘンダーソン(現PLシェフィールドUのGK、イングランド代表)もローンで在籍。
選手に関する情報は皆無ですが、FWビリー・クラークは以前サッカーゲームの「フットボールマネージャー」でチャールトンを選択した際当時在籍していたので、名前と顔は知っていました(年齢の問題で当方すぐに彼を売却した)。以上。
<試合概要>
さあ、それではスターティングメンバーは以下の通り。
スウィンドンタウン=赤(SWT)、グリムズビータウン=青(GRT)
SWTはモダンな1-4-1-2-3の配置、一見するとFWイェーツとドイルの体格はC.ロナウドやヴェルナーを彷彿とさせるものがあります。そして中盤CMのドーティはピルロを彷彿とさせるやる気のない佇まい。なにやらワクワクしてきました。
一方のグリムズビータウンはホロウェイ翁名物の4-3-3のスターティングポジション。守備になるとFWヴァーナムとハンソンが戦前に残り、4-4-2のブロックを作るイメージ。
この試合で忘れてはいけないのが、風の強さ。スウィンドン駅を出た時は空は晴れているのに風で飛ばされそうになるぐらいでした。僕が現役だったら絶対試合はサボってます。
キックオフ直後からSWTはドーティとグラントの2CMがDFの前に落ちてくる形でボールを引き出し、ジャイイェシミ(読み方がわからないので名前長いのとで、とりあえずイニシャルDJ)は相手のDFとMFのライン間をウロウロしながらビルドアップします。SWTはここからあまり細かいことを考えず、逆サイドに大きく張っているWGめがけて高速サイドチェンジをバンバン送っていきます。
ところが今日はあいにくの暴風。この高速サイドチェンジのボールは風にのってリニアモーターカーとなり、隣街のレディングまで行くのではというぐらい伸びて、ことごとくサイドライン、ゴールラインを割っていきます。
守備では流石リーグ1位、全く恐れることなく前線からプレスを掛け、ロングボールが入ろうものならDFがマンツーマンでどうにかするという強者のフットボールを採用していました。それでも度々カウンターを食らってしまうのは、人間である以上避けられないのかと。たまーに押し込まれるときは、4ー2の6人ブロックで守るこれまた強者の戦法を取ります。
一方のGRT、攻撃ではFWハンソンとクラークがポストの役割を入れ替えながら、LWGのヴァーナムをメインに使ってサイドを攻略していくイメージ。しかしSWTがボールを支配する時間が長く、またプレッシャーが強いこともあり、どうしてもATTトラジションがハンソンへのロングボールになってしまい、攻撃に枚数を掛けられません。なんとか相手の中盤のミスを拾ってショートカウンターを左サイドメインで繰り出しますが、それもランダム。試合の主導権はSWTに握られたまま。
そして何よりの暴風日和。前半は向かい風の為、なかなかトランジションのロングボールがFWまで届きません。それではと地上戦に持ち込もうとしますが、SWTのFWへのチェックは速く、またGRTの中盤は皆航空機の運転免許しか持っていないのか、中盤での簡単なトラップミスやショートパスのミスでボールを失い、せっかくのポゼッションを相手陣地まで進めることができません。
GRTのDFは前線からのプレスではなく、当初4ー4ー2のブロックを作りじっくり構える形。しかしDJがあまりにもライン間をウロウロしすぎてうっとおしかったのか、ホロウェイ翁は途中からFWを1枚MFラインに下げ、DMFベンソンがライン間のバガボンドDJをケアすることに徹底していました。
SWTはサイドチェンジからのワイドの1対1、ウロウロするDJに適当にボールが収まったらコンビネーションからニアゾーンを狙う形で攻め込みますが、7〜8人で固められたGRTのゴール前はシンプルな中へのクロスやマイナスの折り返しではなかなかこじ開けられません。
そんなこんなで0ー0で両チーム折り返し。隣のシーズンチケットホルダーのおじちゃんも、「今日は駄目な日か」とつぶやきながら、ビールを買いに階段を降りていきました。
追い風でGRT航空部隊が有利かと思われた後半は、立ち上がりからSWTが試合をコントロールします。
SWTの中盤が地上戦でミドルゾーンを支配。またロングボールのサイドチェンジも向かい風がちょうどいい距離感を生み、前半とは打って変わってドンドンWGに入っていくため、ショート、ミドル、ロングとパスのドン・キホーテ(僕の担当の先生は日本に旅行した時ドン・キホーテでGshockを買ったらしい)となったSWTが怒涛のラッシュを開始早々から掛けます。
そしてサイドからのクロスもニアやセンターではなく、ファーサイドに数的優位を作っておいて、そこを狙う形に変わったように見受けられました。そんなこんなで後半開始から15分程で、すべてクロスから3点を立て続けにゲット。GRTのやる気を完全に挫きます。
ホロウェイ翁は選手交代や、前線に3枚残し4ー3ブロックでの守備に切り替え局面を打開しようとしますが、「ああ、もうだめじゃー」と打つ手なしといった様子。
また前がかりになるGRTに対してFWイェーツがことごとくボールを収め、思うようにはいきません。
なんとなくコーナーからGRTが1点を返しますが、特に試合の流れを変えるわけでもなくそのまま試合終了。
結果3ー1でSWTが1位の貫禄を見せつけました。
個人的MOM: ジェリー・イェーツ(SWT)
理由:上背はそこまでないが、ヴェルナーっぽい強さ、速さ、足下のテクニックとパッと見のバランスが秀逸。
レンタル元のロザラムも3部リーグ1で2位と好調のため、今後の去就に注目。
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SWTは流石上位、サイドチェンジのコンセプトとFW、CMのクオリティが特に素晴らしいチームでした。
一方のGRTはホロウェイ翁といえど、手持ちの選手ではアタッキングサッカーを再現しきれていないような印象でした。
それではまた次回、下部リーグの旅は続く。