3. 【観戦記】 EFL リーグ1 (英国3部) Match 26 ブリストル・ローヴァーズ vs フリートウッド・タウン
おはようございます、ErnestYukioです。
指導教官から昨日英語のライティングに関して酷評いただいたところ、友達の英国紳士も「俺も同じコメントだったわー」とのことで、英語の奥深さを認識致しました。
Write&Improveというサイトがおそらく有名ですが、ライティングの特訓をするにはとても面白いですので、一応共有まで。AIが添削してくれます。
コロナウイルスの影響が我らが英国プロフットボール界にも影を落とし、今月どこかから無観客試合をという声も主に北の方を中心に聴こえてきております。
まあ得体が知れないですもんね。「新型」って「恐怖」の枕詞みたいなものですもんね。
今のところ地球の人口比の新型コロナウイルスの感染率は、英国のコーチ全体に占めるプロフェッショナルコーチの割合より低いらしいので(Robinson?)、ハードルは高いものと思いこんでいます。
今週末の試合の開催を祈りつつ、今日も今日とて夢の箱の中に眠るチケットを探り、英国プロフットボール(英国人はサッカーと言ってはいけないらしい)の奥深さを紹介できればと思います。
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時は遡り1月25日土曜日、テストもなく試合もなく朝からジムでたるんだ背中をいじめた後、電車に乗り込んだ僕は一路英国南西部はブリストルへ。
ブリストルには2部チャンピオンシップで闘うブリストル・シティもいますが、ブリストル・ローヴァーズはもっとアットホームな古き良きクラブといった感じ。
ホーム・メモリアルスタジアムの一階席はバックスタンドとホームゴール裏が全て立ち見で、是政の競艇場(適当)や地方競馬場(適当)のような雰囲気。売店には英国名物のパイしか置いてなく、ハンバーガー党の僕は相手にされていませんでした。
ブリストル・ローヴァーズの監督ベン・ガーナーは39歳の若手急先鋒(UEFA Pro License受講時の指導教官がまさかのモウリーニョ)ということで、どんな采配を振るうのか期待大です。選手では、GKジャマル=ブラックマン(チェルシーアカデミー出身、スケールの大きさからリーズなど移籍した先で毎回活躍を期待されるが、あまりパっとしない)ぐらいが有名で、それ以外の情報は皆無。
一方のフリートウッド・タウンはイングランド北西部(リヴァプールからさらに北の方)の海沿いの町。監督はなんとなんとのジョーイ=バートン(元ニューカッスル、マルセイユのMFで英国悪童界のアイドル的存在。相手を蹴飛ばし、レッドカードをもらうことに関してはワールドカップ級)であり、監督になった彼がどのような極悪非道なヒールレスリングを見せてくれるのか期待です。
他にはウイニングイレブン2008でみた事のあったFWチェド=エヴァンス(元マンチェスターC)やMFウィーラン(元ストーク、アイルランド代表)など、際どいメンバーが揃っています。
<試合概要>
さあ、それではスターティングメンバーは以下の通り。
ブリストル・ローヴァーズ=青(BRR)、フリートウッドタウン=赤(FTW)
BRRは1−4−3−3を採用。FWクラーク=ハリスは六本木のクラブのセキュリティみたいな風貌で、明らかにハイボールに強そう。WGバーレットはテベスやシャキリを彷彿とさせる豆タンク系の選手で、突破力がありそうです。CBデイビスは上背があるものの、あまりスピードは期待できなさそう。
FTWはこれまた昔のバートンからは想像もできない1−3−5−2を採用。DMFウィーランがアンカーとなり、CMデンプシーはテクニカルな後ろ姿。3CBは全員高身長で、さながらRBライプツィヒのようです。
序盤から両者戦い方が明確に分かれます。
BRRはとにかくまずFWクラーク=ハリスめがけてボールを蹴り飛ばす、古き良き英国フットボール。こぼれ球を拾えたら同サイドのWGとSBがなんとかしてクロスに持っていくか、勢いでサイドチェンジをし、逆サイドに孤立しているWGをうまく使うというシンプルなもの。ただFWがボールを収める事ができず、なんとなくこぼれ球を拾うしかない状況が続きます。
一方のFTWはなんとなんとバートンからは想像できないような、中盤以上がぐるぐる動きまわる現代風のサーカスフットボール。3CBとDMFでダイヤモンドを作り、DMFを経由したクリーンなビルドアップからライン間に入ったCMもしくは落ちてきたFWにボールを収め、HSの攻略もしくはWBがニアゾーンに侵入していく形でゴールを狙います。
RCBが持ち上がって割とシンプルに相手SBの裏めがけてRWBを走らせる形もあり、悪童バートンも更生したのか、いろいろと面白い攻撃の仕掛けを作りこんでいるようでした。
BRRの守備はミドルゾーンでブロックを作ってから相手ボールを引っ掛ける作戦。しかしDFとMFのライン間に入ってくるFTWのCMやFWを、DFとMFどちらでチェックするのか決まっていないようで、DFラインの手前をFTWに面白いように支配されます。
特に気になったのは、DMFアップソンがFTWのアンカーをチェックするわけでもなく、かといって自分とCBの間に入ってくる相手をケアするわけでもなかったので、
FTWは正反対に前線から激しくプレッシング。BRRにロングボールを蹴らせ、CBが回収する強気な守備。たまに押し込まれる時はコンパクトな5−3−2のブロックを作り、バイタルエリアは絶対やらせないというベースボールキャップ姿のバートン兄の意気込みが感じられました。
BRRはFWクラーク=ハリスにたまにクロスがはまるものの、シュートミスやこぼれ球を決めきれずパッとしない様子。
FTWもライン間とサイドを攻略しますが、BRRもGKブラックマンを中心に意地のディフェンスを見せます。
前半はそんなこんなでお互いにチャンスを決めきれず0−0。特に気になったのは、BRRのDMFアップソンがFTWのアンカーをチェックするわけでもなく、かといって自分とCBの間に入ってくる相手をケアするわけでもなかった点。後半はライン間のマネージメントをモウリーニョチルドレンのガーナーがどう修正するのか、期待です。
そんなことをスタンドからノートに書いていたら、隣のおばちゃんから「あなたなんでノートなんてとってるの?どこサポーターなの?」としつこく聞かれたので、「ウエストハムサポーターです」と適当に返事しておきました。
後半はBRRがハーフタイムにうまく修正をかけた印象。さすがポルトガルが誇る体育教師の弟子ガーナー。4−2−3−1のような形でほぼマンマークを作り、FTWにスペースを与えません。
DFラインも前半よりチェックが早く厳しいものになり、前半ほどFTWはCMやFWを攻撃の起点にする事ができず、英国名物対空砲に頼るようになります。
ここからがこの試合の見所。FTWのベースボールキャップ監督は後半開始15分でマンツーマンを貼られるやいなや、選手交代でCMを下げ、アタッカーを投入。1FW2シャドーのような形を作り、再び前線を支配します。4DFに対してFTWは3FW+2WBをべったりペースト。これで数的優位が生まれ、DF−MFライン間は再度FTWのものとなります。
負けじとガーナーもDMFアップソンをCBに下げ、5−2−3のDFブロックを形成。ベースボールキャップ兄にしっかりと追随していきます。
高度な陣地の取り合いの結果、両チームの疲労も相まって、気づけばベンチワークとは裏腹にピッチでは英国名物の応酬。そんなこんなでお互いやはりどっち付かずな試合展開が後半も続きます。
そして迎えた後半80分すぎ、右サイドからの崩しでペナルティエリア内のBRRの選手が倒され、PK獲得。キッカーはFWクラーク=ハリス。
適切な助走から蹴り出されたボールは、見事GKの足にセーブされます。
これまで聞いたことのない音量のため息がスタンドから漏れると、サポーターたちは一斉に帰路につき始めました。この見切りの速さがなんともいえません。
僕も帰りの電車の問題があり、ロスタイムに突入したところで帰宅。
2階席の階段では、先ほど席を立った英国紳士たちがやはり結果が気になるのか、立ち止まって観戦を続けていました。家は近所なんだろうから座って観ていればいいのに。
個人的MOM:ジョーイ=バートン(FTW)
理由:彼のアイデアかは不明だが、DFーMFライン間の主導権を常に握る作戦が観られたから。
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BRRは守備戦術の柔軟性は見受けられますが、今後攻撃のレパートリーを英国名物以外で構築していけるのか。
FTWは攻撃の形はできているので、あとはいかにフィニッシュに効率よく結びつけられるかが課題でしょうか。
では、また次回、下部リーグの旅は続く。